イチローは殿堂入りできる?

こんにちは。

みなさんは昨年3月に東京ドームで行われたOAK-SEAの試合見に行きましたか?私はチケットが取れなかったので未来みきさんの生誕イベントに行ってました。この試合が発表された段階ではイチローはまだFAで、どうせこんな不人気チームの試合誰も見ないだろうし簡単にチケット取れそうだなあなんて思ってたのに。

 

という話は置いといて、今回はタイトルの通りイチローは殿堂入りできるのかについて書きたいと思います。殿堂入りというのは現役時代に顕著な活躍をした選手や野球の発展に貢献した人を表彰するものです。殿堂入りの選考対象となるのはMLBで10年以上プレーし、引退後5年経過した選手です。殿堂入りの選考は記者投票によって行われ、投票権を持つのはBBWAA(全米野球記者協会)に10年以上所属した記者で、候補者から10人まで投票することが可能です。全体の75%の得票を得た選手は殿堂入りし、5%未満の得票率の選手は翌年から候補者から除外されます。5~75%の選手は翌年の選考に持ち越されますが、10回目の選考で殿堂入りできなかった選手は11回目の選考で候補者から除外されます。

 

MLBの殿堂入りはかなり難しく、例えばアスレチックス、ヤンキースで活躍したジェイソンジアンビは通算2010安打、440本塁打OPS.916の素晴らしい成績を残したにもかかわらず、2020年の殿堂入り選考でわずか1.5%(6票)の得票率となり、選考から除外されてしまいました。世界のイチローといえどもこのように厳しい殿堂入りを達成できるのか?という点について3つの観点で考えてみたいと思います。

 

通算安打数

 

MLBではよくそんな細かいことまで調べたなと思うような記録が多数存在していますが、数ある記録の中でも3000安打というマイルストーンは重要視されています。以下の表は3000安打を達成した選手です。

名前 通算安打数 殿堂入り
ピートローズ 4256 なし
イカッブ 4191 達成
ハンクアーロン 3771 達成
スタンミュージアル 3630 達成
トリススピーカー 3514 達成
デレクジーター 3465 達成
カールヤストレムスキ 3419 達成
ホーナスワグナー 3415 達成
ポールモリタ 3319 達成
エディコリンズ 3315 達成
ウィリーメイズ 3283 達成
エディマレー 3255 達成
ナップラジョイ 3242 達成
アルバートプホルス 3202 現役
カルリプケン 3184 達成
エイドリアンベルトレ 3166 5年未経過
ジョージブレット 3154 達成
ポールウェイナー 3152 達成
ロビンヨーント 3142 達成
トニーグウィン 3141 達成
アレックスロドリゲス 3115 5年未経過
デーブウィンフィールド 3110 達成
イチロー 3089 5年未経過
クレイグビジオ 3060 達成
リッキーヘンダーソン 3055 達成
ロッドカルー 3053 達成
ルーブロック 3023 達成
ラファエルパルメイロ 3020 なし
キャップアンソン 3011 達成
ウェイドボッグス 3010 達成
アルケーライン 3007 達成
ロベルトクレメンテ 3000 達成

 

 

3000安打を達成して殿堂の選考が行われた選手の中で、殿堂入りが達成できなかった選手はピートローズとラファエルパルメイロだけということが分かります。ピートローズは歴代1位の通算安打数であるにもかかわらず、シンシナティレッズの監督時代に野球賭博に関わったとして永久追放処分を受けました。ラファエルパルメイロは薬物使用疑惑があり、殿堂入りの選考投票する記者の中に薬物使用を嫌う記者たちがおり、殿堂入り出来ませんでした。薬物使用を嫌う記者の影響は大きく、バリーボンズやロジャークレメンスは2020年の投票でともに8回目の選考となりましたが、得票率はそれぞれ60.7%,61.0%といまだに殿堂入りできていません。ボンズは通算762本塁打(歴代1位)、クレメンスはサイヤング賞7回(歴代1位)と1年目で確実に殿堂入りすることが可能なとびぬけた成績を残していますが、薬物使用を嫌う記者たちは両者に票を入れていません。

 

しかしながら、賭博や薬物のようなスキャンダルが報じられていない選手に関しては100%殿堂入りを達成しており、イチローはこれらのスキャンダルに関わりがないという前提で言うならば、殿堂入りの十分条件である3000安打をクリアしていると言えます。

 

JAWS

 

次はJAWS(Jaffe WAR Score system)という指標について考えてみたいと思います。サメではありません。Jay Jaffeという方が書籍の中で紹介した殿堂入りにふさわしいかどうかを評価する指標です。JAWSにはWAR(Wins Above Replacement)という指標を使用します。WARは代替可能選手(簡単に獲得できる平均以下の選手、要は3Aレベルの選手)に比べて何勝上積みできたかを表す指標で、シーズン当たり2.0でレギュラー選手、4.0~5.0で一流選手、7.0~8.0でMVPクラスだと思ってください。JAWSは選手が積み上げた通算WARとキャリアハイ7年のWARの平均をとった指標です。キャリアが細く長い選手や太く短い選手ではだめだということですね。この指標でライトを守る選手の上位20人を見てみたいと思います。

 

名前 JAWS 通算WAR キャリアハイ7年 殿堂入り
ベーブルース 123.5 162.1 84.8 達成
ハンクアーロン 101.7 143.1 60.3 達成
スタンミュージアル 96.3 128.3 64.6 達成
メルオット 82.4 110.7 54.1 達成
フランクロビンソン 80.1 107.2 52.9 達成
ロベルトクレメンテ 74.6 94.8 54.4 達成
アルケーライン 70.8 92.8 48.8 達成
ジージャクソン 60.4 74.0 46.8 達成
ハリーハイルマン 59.6 72.1 47.0 達成
ラリーウォーカー 58.7 72.7 44.7 達成
ポールウェイナー 58.4 73.9 42.8 達成
サムクロフォード 57.5 75.3 39.7 達成
ジョージャクソン 57.3 62.1 52.4 なし
トニーグウィン 55.2 69.2 41.3 達成
ドワイトエヴァンス 52.2 67.1 37.3 なし
イチロー 51.7 59.7 43.7 5年未経過
ジースミス 51.6 64.6 38.7 なし
サミーソーサ 51.2 58.6 43.8 8回目13.9%(2020年)
デーブウィンフィールド 51.1 64.2 37.9 達成
ボビーアブレイユ 50.9 60.2 41.6 1回目5.5%(2020年)

 

この表ではイチローよりJAWSが選手の中で殿堂入り出来なかったのはジョージャクソンとドワイトエヴァンスだけです。ジョージャクソンはワールドシリーズ八百長を行ったとされる"ブラックソックス事件"によって永久追放された選手の一人です。映画"Field of dreams"で登場した選手でもあるので知ってる方もいるかもしれません。ジョージャクソンはスキャンダルで永久追放されたので投票の対象にすらなりませんでした。ドワイトエヴァンスは70年代から80年代にかけてレッドソックスで活躍した選手で、ゴールドグラブ8回受賞の守備力、通算出塁率.370、385本塁打の成績を残しています。攻守に優れた実績を残しながら殿堂入り出来なかったのはイチローにとって不利な材料かなと思ってしまいます。

 

以上2つの指標でイチローの殿堂入りを評価してきましたが、個人的には1年目の殿堂は難しくても10年以内に得票率75%を得て殿堂入りすることは可能だと思います。イチローが投票対象となるのは2025年1月からなので楽しみにしておきましょう。